取材考記(東京社会部・田渕紫織)
南海トラフ、事前避難67万人――。これだけの数の人が避難しなければ、命が守れない。この切迫感を、どう伝えるか。悩みながら取材をした。
3段階ある「南海トラフ地震臨時情報」のうち、最もレベルが高い「巨大地震警戒」が出た場合、政府は対象地域の住民に1週間程度の事前避難を求める。すでに紀伊半島付近の東側か西側でマグニチュード8以上の大地震が起き、次の大地震による津波避難が間に合わないおそれがあるためだ。
沿岸部のほか、高齢だったり、障害や持病があったりして、すぐに避難ができない住民が対象となる。ただ、全国で何人いるのか、避難する場所が足りているのか、どこに聞いても把握していなかった。
ならばと、千葉県から鹿児島…