Smiley face
写真・図版
東日本大震災で被災した岩手県大槌町安渡であった津波からの避難訓練では、高校生らがリヤカーに高齢者を乗せ、高台の公民館まで連れて行った=2025年3月、吉田耕一郎撮影

取材考記(東京社会部・田渕紫織)

 南海トラフ、事前避難67万人――。これだけの数の人が避難しなければ、命が守れない。この切迫感を、どう伝えるか。悩みながら取材をした。

 3段階ある「南海トラフ地震臨時情報」のうち、最もレベルが高い「巨大地震警戒」が出た場合、政府は対象地域の住民に1週間程度の事前避難を求める。すでに紀伊半島付近の東側か西側でマグニチュード8以上の大地震が起き、次の大地震による津波避難が間に合わないおそれがあるためだ。

 沿岸部のほか、高齢だったり、障害や持病があったりして、すぐに避難ができない住民が対象となる。ただ、全国で何人いるのか、避難する場所が足りているのか、どこに聞いても把握していなかった。

 ならばと、千葉県から鹿児島…

共有